祝辞
congratulatory-speech
大阪大学
総長 西尾 章治郎様
京都コンピュータ学院が創立60周年,京都情報大学院大学が創立20周年を,ここにめでたく迎えられましたことに,長谷川亘総長・理事長をはじめとします関係者の皆さまに,謹んでお慶び申しあげます。また,本日は,このように祝辞を述べる機会を頂戴しましたことに,心より感謝申しあげます。
実は,私は御校に大変深い縁(えにし)がございます。
私は京都大学の学生・教員時代に,長谷川利治先生の研究室に所属しておりましたが,その長谷川先生は,京都情報大学院大学の第2代学長を務められました。そして,その長谷川研究室で私に直接の研究指導をしてくださったのが,京都情報大学院大学の前学長で現在は名誉学長の茨木俊秀先生です。
歴代の学長にご指導を賜り,私はまるで御校の学生のようですが,そのようなこともあり,本日こうして記念すべき周年を迎えられましたこと,我が事のように大変嬉しい限りでございます。
さて,京都コンピュータ学院は,ご承知のとおり,長谷川繁雄先生,長谷川靖子先生によって創設された,日本最初のコンピュータ教育機関です。創立以来60年に亘って,常に社会の変化に即応した教育をもって,優秀な情報処理技術者を多く輩出し,日本の高度情報化社会の発展に寄与してこられました。
また,京都情報大学院大学は,2004年,日本で最初のIT専門職大学院として開学され,以来,目覚ましい発展を続けておられます。本年4月に新たに就任されました富田眞治学長のもとで,グローバルな教育機関としてさらなる発展を遂げられますことを確信いたしております。
さて,データ駆動型社会が大きく進展する中,我が国において,真に情報科学などの基礎理論を修得し,実践技術を身につけた人材が圧倒的に不足しています。また,このたびのコロナ禍で,情報システムと関連して,自治体,企業をはじめ多くの機関でさまざまな問題が露呈しました。さらに最近では,生成AIの急発展が社会に大きな変革をもたらし始めています。
このようなことに目を向けますと,これらの課題に対処し,我が国をレジリエントな「情報立国」に導く核となる人材の育成が急務であると言えます。
しかしながら,誠に残念なことに,我が国の情報人材の育成の現状は惨憺たる状況で,量的な面では,IT人材は2030年までに45万人不足するというデータがあります。また,人材の質的には,スイスの国際経営開発研究所(IMD)が公表した世界デジタル競争力ランキング2022において,デジタル・技術スキル領域では63カ国中なんと62位という極めて厳しい状況です。
このような状況の中,情報教育機関のパイオニアであり,かつ,IT教育の最先端を担う京都コンピュータ学院ならびに京都情報大学院大学と,そこで学ばれた方々への社会からの大きな期待,それは言を俟(ま)ちません。
御校におかれましては,これからも幅広い分野で活躍できる社会に有為な人材を多数輩出され,ITをベースとした輝かしい未来社会の構築に一層貢献されますことを,切に願っております。
60周年,人間で言えば「還暦」,それまでの豊かな経験・知見をもとに築き上げてきた強固な基盤をさらに発展させるスタートの年,いわば第二の人生の始まりとも言える重要な節目にあたります。
この節目を迎えられました御校が,これまでの60年間で培ってこられた輝かしい実績を礎に,60年先の「大還暦」を大きな目標として,より一層発展されますことを心よりお祈り申しあげ,私からのお祝いの言葉といたします。
本日は誠におめでとうございました。
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